個人で飲食店を開業したけど、消費税をいくら納めないといけないの?
いつどこにどうやって消費税を払うのか、仕組みがよくわからないんだけど…
このような悩みを持つ方にわかるように、消費税についてくわしく解説していきます。
あっ、今回は個人事業主の方に向けて話を進めていきますので、法人の方は参考程度にしてくださいね。
消費税の支払いが免除になる要件
通常は事業を始めたら消費税を納めなくてはいけません。
でも場合によっては消費税を納めなくていい場合があります。
あなたが消費税を納めないといけない事業者なのかは、現在の開業年数によってその判断方法が変わってきます。
飲食店開業1年目の場合は消費税を納めなくていい
開業1年目の人は消費税を納める必要がありません。
あなたが令和4年に開業したのであれば、令和4年は「消費税の免税事業者」となるので、令和4年の事業について消費税を払う必要ありません。
※「消費税の免税事業者」とは、消費税を納める義務がない事業者のことです。
これは令和4年1月1日に開業した人も、令和4年12月1日に開業した人も同じ扱いになります。
飲食店開業2年目の場合
開業1年目で消費税を払う必要がなかった人も、次の条件Aに当てはまれば2年目から「消費税の課税事業者」となります。
「消費税の課税事業者」とは、消費税を納める義務のある事業者のことです。
開業1年目の年の1/1~6/30までの、売上合計と給与合計の両方がそれぞれ1,000万円を超える人
つまり、開業1年目の年の1/1~6/30までの、売上合計か給与合計のどちらかが1,000万円以下の場合、2年目も消費税を納める必要はありません。
飲食店開業3年目の場合
開業3年目で、つぎの条件B、Cのどちらか一方でも当てはまる人は、「消費税の課税事業者」となります。
前々年の1/1~12/31までの、売上合計が1,000万円を超える人
前年の1/1~6/30までの、売上合計と給与合計のどちらも1,000万円を超える人
飲食店開業4年目以降
開業4年目以降の場合も、開業3年目の場合で説明した、条件B、Cのどちらか一方でも当てはまれば「消費税の課税事業者」となります。
消費税はいつまでにどこへ納めないといけないの?
消費税は翌年の3月末日までに、所轄の税務署に申告納付します。
具体的には3月末日までに、税務署へ「消費税および地方消費税確定申告書」と付表を提出し、金融機関で消費税を納付します。
消費税の納付はwebサイトからクレジットカードで納付することも可能です。
消費税の計算方法には2通りあります
消費税の計算方法には、「原則課税」と「簡易課税」の2通りの方法があります。
通常は「原則課税」で納めるべき消費税額を計算します。
ただし、事業者が「簡易課税」を選択することを事前に税務署へ届け出た場合にかぎり、「簡易課税」で計算をすることができます。
これは「原則課税」で計算した消費税額よりも、「簡易課税」で計算した消費税額が少ない場合があるのでそのような届出を行います。
消費税の計算方法(原則課税)
税務署にあえて「簡易課税を選択する届出」を出してなければ、こちらの方法で計算します。
計算の手順は次の通りです。
手順1:売上にかかる消費税額を計算する
手順2:仕入(経費)にかかる消費税額を計算する
手順3:手順1で計算した消費税額から手順2で計算した消費税額を引く
最終的に手順3で計算された金額が、税務署に納めないといけない消費税額となります。
それでは順番に説明していきます。
売上にかかる消費税額とは「お客様から預かった消費税」のことです。
たとえば、あなたがお店で提供している「1,100円(税込)」のカルボナーラ代をお客様からいただいたとします。
この場合、カルボナーラ代1,100円(税込)のうち、100円(税率10%)は「お客様から預かった消費税」となります。
これを、1年間で合計いくらになるか計算します。
たとえば、令和3年の年間の売上高が1,320万円(税込)だったとします。
あなたがお客様から預かった令和3年の消費税は、
1,320万円 - (1,320万円 ÷ 1.1)= 120万円
つまり、120万円となります。
ここまでの計算が手順1となります。
仕入(経費)にかかる消費税とは、材料を仕入れたり経費使ったりしたときに「あなたが支払った消費税」のことです。
たとえば、お店で提供していカルボナーラを売るために、カルボナーラを作るのに使った材料代が324円(税込)だったとします。
この場合、材料代324円(税込)のうち24円(税率8%)は、「あなたが支払った消費税」となります。
ほかにも、水道光熱費が55,000円(税込)だったら、あなたが支払った消費税は5,000円(税率10%)になります。
これは、ほかにも家賃だったり電話代だったり、消費税がかかっている経費はすべてあてはまります。
これらの「あなたが支払った消費税」が、1年間で合計いくらになるかを計算します。
参考までに消費税のかかる経費の例をいくつか紹介しておきます。
- 料理の材料仕入
- ドリンクの仕入
- 家賃
- お店の広告代
- 水道光熱費
- 電話代やネット代
- お皿や道具(文具)などの消耗品
- 交際費(飲食代など)
これらの1年間に払う経費は件数が非常に多く、消費税の計算はとても面倒な作業となります。
一から自力で計算すると大変なので、たいていの事業者は会計ソフトを使ってその計算を行います。
会計ソフトにお金をかけたくない方は、1年間無料で全機能を使える会計ソフトもあるのでとりあえず試してみるのもいいかもしれません。
さきほど手順1で計算した、「1年間の売上にかかる消費税額」から
手順2で計算した、「1年間の仕入(経費)にかかる消費税」を
差し引いた金額が納めなければいけない消費税となります。
たとえばあなたのお店の1年間の、
お客様から預かった消費税合計が120万円
あなたが支払った消費税合計が70万円
だった場合、
120万円 - 70万円 = 50万円
が税務署に納める消費税となります。
これら手順1から手順3までの計算や、提出しないといけない申告書の作成は、弥生会計使ってすることができます。
消費税の計算方法(簡易課税)
「原則課税」よりも「簡易課税」で計算した方が消費税額が少ない場合、税務署へ事前に簡易課税で計算することを選択する旨を届け出ることで、「簡易課税」で計算することができます。
ただし、この簡易課税を選択することができるのは、前々年の売上高が5,000万円以下の事業者のみです。
「簡易課税」による消費税計算の手順は次の通りです。
手順1:1年間の税抜の売上高を計算する
手順2:みなし仕入れ率を調べる
手順3:簡易課税の計算式にあてはめる
手順3で計算された金額が、税務署に納めないといけない消費税額になります。
それでは順番に説明していきます。
これは簡単です。
1年間の売上高合計(税抜)を計算します。
たとえば、1年間の売上高が税込みで1,320万円だった場合、
1,320万円 ÷ 1.1 = 1,200万円
税抜の売上高は1,200万円になります。
(テイクアウト売上の場合は、1.1を1.08で計算します)
手順2:みなし仕入れ率を調べる
事業区分 | 該当する代表的な事業 | みなし仕入率 |
---|---|---|
第一種事業 | 卸売業 | 90% |
第二種事業 | 小売業 | 80% |
第三種事業 | 農業・漁業・製造業 | 70% |
第四種事業 | 飲食業 | 60% |
第五種事業 | サービス業 | 50% |
第六種事業 | 不動産業 | 40% |
店内飲食の普通の飲食店であれば、第四種事業の飲食業にあたり、みなし仕入れ率は60%となります。
ただし、テイクアウトによる売上だったり、調理せずに仕入れた商品をそのまま売る場合などは、事業区分が変わってきます。
それぞれ個別に事業区分を判断しなければいけないので、売上がどの事業区分にあたるかは事前に税務署や税理士に確認しておいた方がいいです。
簡易課税の計算式とは次のとおりです。
( 課税売上高 × 10%(軽減税率は8%) ) - ( 課税売上高 × 10%(軽減税率は8%) × みなし仕入率 )
課税売上高とは、手順1で計算した1年間の税抜の売上高のことです。
みなし仕入れ率はは手順2で説明したとおりです。
たとえば、1年間の税抜の売上高が1,200万円だったカフェの場合、納めないといけない消費税は、
(1,200万円 × 10%)-(1,200万円×10%×60%)
= 120万円 - 72万円
= 48万円
となります。
飲食店の消費税の計算方法まとめ
いかがだったでしょうか?
最後に今回の要点をまとめておきます。
- 開業1年目は消費税を納めなくてよい
- 消費税の課税事業者になるかの判定方法は開業年数で異なる
- 課税事業者は翌年3月末日までに、消費税の申告と納付をしなければいけない。
- 「簡易課税」を事前に選択しない限り「原則課税」で計算することになる
- 「原則課税」は、売上と仕入の金額から消費税を計算する方法
- 「簡易課税」は、売上の金額から消費税を計算する方法
これら消費税の計算は手計算だとかなり面倒ですが、会計ソフトを使えば簡単に計算することができます。
導入がまだの方は経理が楽になるので導入することをおすすめします。
会計ソフトについて、別記事でもくわしく紹介してますので参考までにご覧ください。
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プロフィール
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