会計事務所の仕事内容って?11年の勤務経験から解説します

会計事務所(税理士事務所)ってどんな仕事してんの?
事務職が未経験の自分でも働くことできんの?

という疑問を持つ方に、会計事務所に11年勤めた私がその仕事内容をまとめました。

目次

会計事務所は何するところ?

会計事務所のお客さんは基本的に会社の経営者です。

会社を経営するお客さんは、日頃から次の3つの疑問を持ちながら経営を行っています。

疑問1.「うちの会社って資金どんだけ残ってんの?」
疑問2.「うちの会社ってどんだけ儲かってんの?」
疑問3.「税金を安くしたいんやけどどうしたらええの?」

すべての会計事務所に共通する仕事は、基本的にこの3つの疑問を解決することと言って差し支えありません。

そのために会計事務所が行う業務内容は次のとおりです。

会計事務所のおもな業務内容(5つ)

会計事務所の仕事を大きく分けるとつぎの5つになります。

  • 記帳代行
  • 月次監査
  • 決算業務・税務申告
  • 税務相談
  • 季節的業務(年末調整等)

具体的に説明していきます。

記帳代行

会計事務所の業務の中でも一番時間を割く作業であり、基本中の基本といえるのが「記帳代行」です。

会社は通常、先程の疑問1と2の答えを見るために(つまり会社の資金や利益の状況を確認するため)、二つの資料を作成します。

それは「貸借対照表」「損益計算書」と呼ばれるものです。

この資料について詳しい説明は省きますが、とりあえずこのふたつの資料を見れば、その会社の資金状況や利益状況がわかるようになってます。

枚数でいうとA4で2~4枚くらいの資料です。

そしてこの資料を作るためには、会社の日々の取引を全て細かく記録していかなければばりません。

  • 銀行からお金を引き出したら記録
  • 商品が売れたら記録
  • 従業員に給料払ったら記録
  • ダイソーで事務用品を買ったら記録
  • 電気代を払ったら記録etc…

とにかくお金や取引に動きがあったら全てを記録していきます。

この記録の仕方には一定のルールが決まっていて、そのルールの通りに記録することを「仕訳」といいます

そしてこのルール通りに仕訳する作業をひっくるめて「記帳」といいます。

つまり記帳とは

会社の「資産や利益の状況」がわかる資料を作成するため、日々の取引を記録していく作業です

この記帳を、会社に代わって会計事務所がやるのが「記帳代行」です。

記帳業務は、会社によっては経理部門の職員がやったり、小さな会社では社長の奥さんがやったりもしています。

何度もいいますがこの「記帳代行」が会計事務所では基本中の基本の仕事となります。
業務の中でも一番時間を割く作業です。

通常は専用の会計ソフトを使って記帳作業を行います。

月次監査

先程も述べましたが、会社によっては経理部の職員や社長の奥さんが記帳を行っている会社があります。

経営者からすればその記帳が本当に正しくちゃんとできてるかわからないので、会計事務所にチェックしてもらったりします。

このチェック作業を「月次監査」といいます。

月次監査とは

会社が行った記帳業務がルールの通りに正しく行われているか、毎月チェックする業務です。

具体的には1ヶ月に1回ぐらいの頻度で、請求書や領収書、銀行通帳などを見て、会計ソフトへの入力内容が正しくルール通りに行われているかをチェックします。

決算業務・税務申告

「決算」は桃鉄をやったことのある人にはお馴染みの言葉ですね。

企業は1年に1回、その業績を計算して1年間の利益や資産を数字で確定させます。

それが「決算」です。

桃鉄では毎年3月に決算が行われますが、実際のところは企業によって決算月は様々で5月だったり10月だったりします。

そしてこの決算と同時に行わないといけないのが「税務申告」です。

「今回はこれだけ儲けたから税金をこれだけ納めますね」という内容が書かれた書類を税務署に提出する仕事が「税務申告」です。

桃鉄にはこの「税務申告」はないですね。(最近のは知らんけど…)

1年に1回、会社の利益や資産を確定させるのが「決算」
「決算」を元に税金を計算して、税務その内容を書類提出するのが「税務申告」

税務相談

皆さんは税金というとどんな税金を思い浮かべますか?

  • 所得税 
  • 固定資産税 
  • 自動車税 
  • 消費税 
  • 住民税 
  • ガソリン税etc…

日本には色々な税金がありますね。

その中で、

ぺろ

あー、税金もっとたくさん払いてーな

こんな悩みを持つ人は少ないでしょう。

ほとんどの経営者は、「いかに税金を合法的に安く納めるか」を考えています。

これに対して助言アドバイスをするのが「税務相談」です。

季節的業務(年末調整や確定申告)

会計事務所には季節的に大忙しの時期があります。

それは12月~3月頃です。

それはなぜかというと、まず12月になれば年末調整という作業に取り掛かることになります。

会計事務所で年末調整業務のない事務所はまずないと思います。

「年末調整」とは、毎月の給料から天引きした所得税の過不足を年末にまとめて再清算する業務です。

年末調整は従業員の多い会社を担当してたりすると、かなり時間がかかる業務となります。

やがて年末調整が終わり、年が明けたかと思えば、今度はすぐに確定申告の時期がやってきます。

「確定申告」とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を計算して、税務署に報告して税金を納める業務です。

具体的には個人で営む小さな八百屋さんなんかが、1年間に儲けた額を税務署に申告して、その税金を納めたりするイメージです。

確定申告をしないといけない人は個人事業主やフリーランス、株式や不動産の投資をするお金持ちなど様々です。

確定申告は、毎年2月15日~3月15日の間に税務署へ申告します。

ぺぺきよ

この確定申告時期が、会計事務所で働く上で一番忙しい時期です。税務署もめちゃめちゃ大忙しの時期です。

この時期は本当にとにかくめちゃくちゃ忙しいです。

ぺぺきよ

私はこの時期を初めて乗り越えた時は、廃人のようになっていました。

会計事務所で働くメリット

様々な業種の財務状況を知ることができる

会計事務所で働くと様々な業種の担当を持つこととなります。

建設業、製造業、小売業、サービス業、医業、etc…

会計事務所の業務は、これらの企業の会計をチェックすることですから、当然その企業の、

「事業規模」「収益性」、業界の「給与水準」など様々な情報を手に入れることができます。

これら多種多様な業界の内部を知ることができるのは、士業事務所で働く特権といっていいと思います。

ぺろ

もちろん守秘義務は超大事だよ

経営者と直接話すことができる

会計事務所の業務は企業の利益が大きくからむ仕事です。

必然的に経営者と話す機会が多くなります。

経営者には色々なタイプがいますが、儲けている企業の社長との会話は、すごく有益な内容が多くてほんとうに勉強になります。

その業界のことを色々ぶっちゃけたりしてくれるので、財務以外の面でもその業界のことに詳しくなったりできます。

引き抜きをされる場合がある

ぺぺきよ

実際に私がそうでした。

当時、会計事務所で働いてた私は、担当だった医療機関の事務長と意気投合し、そのまま総務経理でそこへ就職したことがあります。

ぺぺきよ

そこでは、医療事務についても経験する事ができました

現在の私は田舎の県下で数店舗を運営する飲食業の会社で総務経理をしています。

こちらも同じように社長からのお誘いで就職に至りました。

ぺぺきよ

会計事務所で良かった事がもう一つあります

私は当然ながら転職するその会社を担当していたので、その会社の業績や内情を詳しく知っていました。←ココ重要

しかも経営者からのお誘いなので、次の職場では安心して働くことができました。

求人票やホームページからだけでは、その会社の財務状況や内情までは決してわかりませんでした。

税金の知識が増え人生に役立つ

日本で生きていく限り死ぬまで何らかの税金を払い続けるわけですから、税金の知識が大きな資産になるのは容易に想像できます。

人生において、税金の仕組みを知っているだけで得をする場面はこれから何回も出てくると思います。

履歴書に会計事務所の勤務経験をアピールできる

例えば履歴書の自己PRに

「私は会計事務所で様々な業種の会計や監査業務に携わってまいりきました。御社では、その中で得た経験と知識を活かして財務の基盤強化に貢献したいと考えています。」

と書いてあればどうでしょう。

会計事務所でやってきたことを書いてるだけですが、なんかすごくできる人の感じがしませんか?

会計事務所で働くデメリット

何といっても未経験者は最初は根性が必要です。

分からない事が次から次へ出てきますので、それに負けない強い心が必要です。

入る事務所にもよりますが最初は残業覚悟で挑む必要があります。

会計事務所のほとんどの仕事には期限があります。

それを超えてしまうとお客様が払う税金が増えたりします。

そのため、私は働き出して初めの方は休日になっても気がやすまりませんでした。

「あの書類ちゃんと提出したっけ?」
「あれをやっとかないと今度はあれが間に合わなくなるなぁ。」
「明日はあれとあれを絶対終わらせなきゃ」

などと休日にもかかわらず考えることが増え、精神的に気が休まりませんでした。

必要なスキル

一番大事なのはスケジュール管理能力

事務仕事に一番必要な能力はスケジュール管理能力です。

理由は先に述べた通り、仕事に提出期限があるからです。

会計事務所に入ると担当を複数持つことになります。

そこからずっと同時進行で会計業務を進めていきます。

全ての担当の会社の会計が円滑に進むよう、スケジュールを管理して確実に仕事を終わらせる能力は必須です。

ゆえに、いかに効率的に仕事を時短出来るかを追求する能力も必須となります。

コミュニケーション能力

つぎに大事なのが経営者に信頼されるためのコミュニケーション能力です。

私が初めて会計事務所で働きだしたのは24歳の時でした。

私の業務は一人で担当の会社へ行って、帳簿をチェック、最後に社長と二人きりで財務状況について説明して帰るというものでした。

当時24歳の小僧の私が、いきなり会社の経営者と話をするというのはとても勇気がいるものでした。

いかにして社長に好かれるか。仕事ができる人間だと思われるようになるか。

これから担当としてずっとお付き合いしていくことになるわけです。

社長との信頼関係は、後々の業務をこなしていくスピードへもろに影響するので非常に重要なテーマでした

PCのスキルはどれくらい必要なの?

最初はパソコンを使ってインターネットで検索ができる程度で私は大丈夫だと思っています。

記帳業務については専用の会計ソフトを使うので、何よりそちらの操作方法を覚える方が大事です。

四則演算レベルのExcelが出来れば尚良いですが、そんなものはすぐ覚える事ができます。

PCの操作スキルを気にするより、最初は壁にぶつかりながら業務をどんどんこなしていくパワー(気持ち)が重要だと思います。

ぶっちゃけ未経験者でもいけんの?

大丈夫です。いけます。

会計事務所で働く人は、事務所が合わなければぐ辞めますし、できる人は税理士になって独立したり、他社へ転職したりします。

なので結構な頻度で欠員補充が出ます。

インターネットハローワークで試しに検索してみてください。

意外と未経験可の求人多くないですか?

とはいえ会計の知識がゼロから始めるのは、最初相当しんどいのを覚悟してください。

私の経験上、これまでに会計事務所に入社して1週間で辞めた未経験者は何人もいます。

ただ、最初は本当にしんどいですが、知識が増えて慣れてくれば段々楽になりますし、何より自分の力になります。

会計や税金の勉強ができて、さらには給料までもらえる仕事です。

もしあなたが会計事務所に入社したなら、2〜3年くらいは必死に頑張ってみましょうね。

その経験と知識はあなたの人生できっと大きな財産になりますから。

この記事を書いたひと

プロフィール

ぺぺきよ
  • アラフィフおじさんブロガー
  • 同い年のネイリストと46歳で結婚
  • ハチワレ猫の「ぺろ」が大好き
  • 会計関連の仕事を26年
  • 趣味はキャンプとブログ

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