収支計画書のつくり方

開業・起業

飲食店の収支計画書のつくり方と見本(残るお金はいくら?)

2022年4月7日

飲食店の経営に必要な収支計画書の作り方・考え方について解説します。

※日本政策金融公から開業資金を借りるために作る「創業計画書の書き方」が知りたい方は、関連記事に詳細を解説していますので参考にして下さい。

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収支計画書を作成する目的

開業にあたっ収支計画書を作る目的は主に次の5つです。

1.開業にあたり必要資金がいくら必要なのか把握する。
2.1ヶ月の売上高(収入)を予測する。
3.1ヶ月の人件費(経費)を予測する。
4.1ヶ月の固定経費(家賃や光熱費等)を予測する
5.1ヶ月にどれだけの資金が手元に残るか予測する

飲食店に限らず、新たな事業を始めるのにその事業の収益性を予測することはとても大事なことです。
収支計画書は時間をかけて慎重に作っておかないと、「いざ事業を始めてみたけど手元にお金が残らない」というような時に、何が悪いのか原因を探ることができません。

 

収支計画書の見本

ここでは私が作った仮の新規事業計画書をもとに作り方(考え方)を説明したいと思います。

事業計画書の見本

上の見本は私が仮で作成した飲食店の収支予測です。

前提として、

店舗坪数:20坪
総座席数:30席
営業形態:昼はランチ、夜は居酒屋

という内容で作成しました。

これから作り方(考え方)を解説していきますが、これはあくまで基本的な考え方です。

ぺぺきよ
あなたのお店用にいいとこどりだけして作ってくださいね。

 

収支計画書の4つの構成

この収支計画書は大きく4つの部分から構成されています。

それは、

1.「基礎データを予測」する部分
2.「1ヶ月の売上を予測」する部分
3.「1ヶ月の人件費を予測」する部分
4.「1ヶ月の収支を予測」する部分


です。

 

1.基礎データの作成する部分
ここでは、提供する料理の平均原価率や店舗の家賃など、新たにお店を始めるにあたって必要な費用等の情報を作成します。

2.1ヶ月の売上予測
ここでは、1ヶ月にどれだけの売上をあげることができるか予測します。

3.1ヶ月の人件費予測
ここでは、1ヶ月運営するのにかかる人件費を予測します。

4.1ヶ月の収支予測
ここでは、1ヶ月にかかる固定費用を予測し、どれくらいのお金が最終的に手元に残るか予測します。

 

この収支計画書の作成方法は、1から4まで順番に作っていくことで、最終的に1ヶ月で手元資金がどれだけ残るかを予測できるという流れになっています。

注意ポイント

見本の黄色で塗ってある項目が、自分で考えなければいけない項目です。

 

ぺぺきよ
それでは上から項目順に解説していきます。

 

基礎データを予測

ここでは、新たに飲食店を開業するにあたっての基礎情報を埋めていきます。
開業にあたって必要な資金がいくらいるのかを予測する事が目的です。

事業計画書の基礎データ

それぞれの項目についてなんの数字を入れているのか説明していきます。
数値は全て予定(予測)の数値です。

・原価率(%)
店の商品全体の原価率です。

原価率とは、提供する料理やドリンクに対する材料代の割合です。
例えば、

材料代300円のパスタを1,000円で売る場合の原価率は30%です。
(300円 ÷ 1,000円 = 30%)

300円で販売する枝豆の材料代が50円なら原価率は16.6%です
(50円÷300円=16.6%)

業態にもよりますが、飲食店の一般的な平均原価率は30%ほどといわれています。
まだ原価の計算なんかできてないよという方はとりあえず30%という数字OKです。

原価率の設定に関しては、経営の根幹にかかわる本当に難しい問題なのでまた別記事で詳しく書きたいと思います。

・店舗家賃(1ヶ月)
新店の一ヶ月の家賃です。
自宅でカフェなどをされる方は0円です。

・敷金保証金
店舗を借りる時にかかる敷金保証金です。

・礼金+仲介手数料
店舗を借りる時にかかる礼金・仲介手数料です。

・内装費
新店の内装にかかる費用です。

・厨房機器
シンクや冷蔵庫、調理器具等、厨房にかかる費用です。

・先行仕入
開業初日までに必要な食材やドリンク等の仕入費用です。

・先行人件費(3ヶ月)
店舗運営にかかる人件費の3ヶ月分です。
後ほどの章で、1ヶ月の人件費の予測を立てますのでその後に計算します。

・水道光熱費(3ヶ月)
予測される電気・ガス・水道代の合計の3ヶ月分です。
後ほどの章で、1ヶ月の水道光熱費の予測を立てますのでその後に計算します。

・先行通信費・消耗品、雑費等(3ヶ月
予測される通信費・消耗品費、雑費等の合計の3ヶ月分です。
それぞれの科目についてはのちほどの章で解説しますのでその後に計算します。

・開業前の広告宣伝費
開店をお知らせする広告費の見積です。

・自己資金
開業にあたって自分で用意できる自己資金です。

・設備等耐用年数(年)
新店の設備の平均耐用年数です。
よく意味がわからないという人は15年で大丈夫です。

・借入金
金融機関から借入する金額です。

・借入金金利(%)
上記借入の金利です。

・返済期間(年)
上記借入の返済期間です。

 

1ヶ月の売上の予測を立てる

ここでは「平日」と「金土、祝前日」のそれぞれの一日売上を予測して、最終的に1ヶ月の売上高を予測することが目的です。
(さらに例では「ランチ部門」と「居酒屋部門」に分けてそれぞれ計算しています)

事業計画書の売上高

 

・座席数
店内の総席数です。

・回転率
1日のお客様の回転率を予測します。
回転率とは一日の営業時間内にお客様が何回入れ替わるかを示します。
回転率は、「一日の来客数」÷「総席数」で求められます。

・総客数
一日来店されるお客様の総人数です。
「総座席数」×「回転率」で求められます。

・客単価
一人のお客様が使う単価を予測します。
例では、ランチ部門が1,000円、居酒屋部門が4,000円で予測しています。

・一日売上
一日の売上高です。
「総客数」×「客単価」で求められます。

・営業日数
一ヶ月の営業日数です。
例では、平日が全部で16日、金土祝前日が全部で8日、合計で月24日としています。

・売上高小計
平日と金土祝前日、それぞれの1ヶ月の売上高です。
「一日売上」×「営業日数」で求められます。

・売上高合計
平日と金土祝前日の売上を足した、1ヶ月の売上高です。

ぺぺきよ
これで、お店の1ヶ月の売上高の予測が完成しました。

 

1ヶ月の人件費の予測を立てる

ここでは、社員とアルバイトにわけて1ヶ月の人件費がいくらになるのか予測することが目的です。

事業計画書の人件費

・社員
社員全員の1ヶ月の人件費を予測します。

例では、社員2名(一人あたりの給与が250,000円)の場合、人数には2を、金額には500,000円(2人×250,000円)を記入しています。

・アルバイト
アルバイトの1ヶ月の人件費を予測します。

例では、2名雇入れ予定として、勤務日数24日×拘束時間5時間×時給1,000円×2人 = 240,000円で計算しています

・人件費合計
社員とアルバイトの人件費の合計です。

ぺぺきよ
これで、お店の1ヶ月の人件費の予測が完成しました。

 

1ヶ月の固定費の予測をたてて収支予測を作成する

ここでは、毎月かかる固定経費を予測して、最終的に手元にいくら資金が残るのかを予測することが目的です。

事業計画書の収支予測

・各売上高
前章で予測した売上高です。

・売上高合計
各売上高の合計です。
例では、「ランチ部門」と「居酒屋部門」の1ヶ月の売上高の合計となっています。

・売上原価
1ヶ月の売上にかかる食材原価です。
「売上高合計」×「原価率」で求められます。
例では、「売上高合計3,120,000円」×「原価率30%」=936,000円で計算しています。

・売上総利益
売上から食材費を引いた「粗利益」です。
「売上高合計」-「売上原価」で求められます。

 

ここからは食材費以外の1ヶ月にかかる固定経費を予測していきます。
これが終われば事業計画書は完成です。

以下、それぞれ例をふまえて解説していきます。

・人件費
前章で予測した人件費です

・福利厚生費
従業員にかかる福利厚生費用です。
例:誕生日祝、会議食事代、薬代等

・広告宣伝費
お店の広告宣伝費です。
例:チラシやはがき等

・交際費
交際費です。
例:取引業者との飲食代等

・旅費交通費
営業に必要な旅費交通費です。
例:ガソリン代やコインパーキングな等

・通信費
通信にかかった費用です。
例:電話代、ネット代、切手代等

・消耗品費
10万円万の消耗品です。
例:食器、事務用品、電池等

・水道光熱費
水道光熱費です。
例:電気、ガス、水道

・支払手数料
業者に払った手数料です。
例:税理士顧問料、振込手数料、カード決済手数料等

・地代家賃
店舗の家賃です。

・保険料
お店でかける保険料です。
例:食品賠償責任保険、営業車自動車保険等

・租税公課
国や地方に納める税金です。
例:固定資産税、印紙等

・減価償却費
前章で予測した内装費や厨房機器などをの費用を一定期間に配分した費用です。
ここでの計算式は、「内装費+厨房機器」÷「設備等耐用年数」÷12ヶ月で計算しています。
難しくてわからない方もそのまま数字を当てはめてもらえば大丈夫です。

・雑費
上記経費にあてはまりづらい経費です。
例:組合会費、クレジットカード年会費等
(例では経費を大目に予測する目的で月50,000円見積もっています。)

・販管費計
「人件費」~「雑費」までの合計です。

・営業利益
1ヶ月のお店の利益です。
「売上総利益」-「販管費計」で求められます

・減価償却費(+)
上で求めた減価償却費と同じ金額です。
最後に手元に残る資金の計算に必要なのでここに項目を入れています。

・借入金と借入利息
月々に返済しなければいけない借入金と借入利息です。
計算式は

まず、「借入金」×(1+金利)で、借入金と借入利息の総額を算出し、
「借入金と借入利息の総額」÷「返済年数」÷12ヶ月で、
月々の返済金額の合計を求めています。

例では、
(10,000,000円×1.0135)÷5年÷12ヶ月 = 168,917円
となっています。

・キャッシュ残高
あなたが1ヶ月お店を営業して、借入金返済後に手元に残る資金です。

計算式は、
「営業利益」+「減価償却費」-「借入金と借入利息」で求められます。

例では、610,083円の現金が手元に残る計算になっています。

ぺぺきよ
いわばこのキャッシュ残高はあなたの1ヶ月のお給料ですね。

 

まとめ

飲食店の経営に必要な収支計画書の作り方・考え方について解説しました。
最後のキャッシュ残高が赤字だと、金融機関は絶対にお金を貸してくれませんし、そもそも事業として成り立ちません。
キャッシュ残高を増やすには、売上を増やすか経費を減らすかのどちらになります。

売上の見込みは適正か?
雇う従業員の人数は本当に大丈夫か?
固定費の予測に抜かりはないか?

細部までちゃんと考えて作った収支計画書が黒字なら、事業も成功する確率が高いですし、金融機関に対しても説得力のある計画書となります。

 

ぺぺきよ
上記を参考に慎重に時間をかけて事業計画書を作成してみてくださいね。

 

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  • この記事を書いた人

ぺぺきよ

飲食業の中の人を10年。47歳おじさんブロガー。 PC販売員2年→税理士事務所6年→医療機関6年→公認会計事務所4年→現在は法人(飲食業)の総務経理10年目。 同い年のネイリストと昨年結婚。 ハチワレの「ペロ」を溺愛。

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